山梨県のポジション
地方分権が進む中での山梨県の未来像は?
地方分権のメリットを挙げるならば、その最大の魅力は、各地方がその地域の市場にあった適切な業務を行うことができること・・・確かにその通りである。
地方分権を進めると地方の権限が強化され、地方の事を地方で行うことができる。地方の方が、住民ニーズを把握しやすいので、よりニーズにあったサービスが提供出来るからである。
しかし、良いことばかりなのだろうか。国が、地方分権を推進する一番の目的は、国の財政難の回避である。そうでなければ、既得権益を命の次に大事にする国のキャリア官僚が、自ら権限を喪失する地方分権を進めるはずがないのである。
地方分権21世紀ビジョン懇談会(竹中総務相の諮問機関)の最終報告案によればなぜ今地方分権か・・・対し「国も地方もともに歳出改革を断行し、持続可能な財政システムをつくりあげること」としている。つまり、国の財政健全化のために補助金や交付金を減らす代わり、税源移譲するから、後は自分(自治体)でちゃんとやってくださいね・・・ということである。
税収で見ると、これまで、東京や神奈川・愛知など税収の大きい地域で得た税金が、地方に分配されていたが、コレが少なくなり、独立採算的要素が強まることになる。税源移譲は、地方交付税の削減とイコールである。同時に体力の無い県では収入の総額が減るという事に他ならない。簡単に言えば、東京や名古屋などの体カのあるところにとってはいいが、税収の上がらない地方にとっては収入が滅り、厳しい運営を余儀なくされるということでもある。
従って、今までの住民サービスを受けようとすると、住民税負担増は避けられない。その意味で、地方の自由度が増すということは、地域格差が強まるという現象に直結する。
投資的経費や、建設事業費や土木費が日本一の山梨県は、どうだろうか?これからは、寸分の狂いも許されない舵取りの難しい自治体運営を迫られる。そうしなければ、地方債は増える一方となり、かつ「デクシア」のような世界最大手の地方自治体向け金融機関から、融資を受けなければその調達すら難しくなろう。市町村合併が進み、本格的な『地方の時代』を迎えた今、正しい道に誘う知事や首長の選任をする事が、風光明媚なわが郷土に住み続けることができるかどうかの選択でもある。
そんな中、全国的に見て、もしくは首都圏150キロ圏内にある10都県の中で今、我が山梨県はどのような位置にあるかを検証して見たい。
首都近隣県では最低の県民所得
※望月県政下では全国11位にあつた県民所得が2002年現在全国31位迄大幅ダウン。首都圏近郊1都9県で比較すると次のようになる。
東京都= 1位(4,080千円) 静岡県 = 3位(3,221千円) 千葉県= 5位(3,070千円) 神奈川県= 6位(3,062千円) 栃木県= 7位(3,044千円) 群馬県 =11位(2,909千円) 茨城県=12位(2,902千円) 長野県 =20位(2,781千円) 埼玉県=26位(2,659千円) 山梨県 =31位(2,565千円)
このうち埼玉県の県民所得が低いのは東京都のベッドタウンであるため若年流入人口が多い事が原因。
山梨県予算の歳出費割合の全国順位と経済指標値全国順位
- 歳出比では民生費43位、杜会福祉費37位、老人福祉費37位、児童福祉費31位と、県民に厳しい数字。しかし、住民税は24位と全国平均
- ワイン、果樹、観光、宝石と山梨県を支える基幹産業に対し商工費の歳出比 は全国39位。
- 全国第一位の歳出費比はなんと投資的経費の割合、土木費と普通建設事業費割合
- 安全の為の警察費の歳出比割合は39位。その為か刑法犯検挙率全国39位
- 教育費割合は全国36位。しかし進学率は高校・大学ともベスト10に入っている
- 訪間介護利用者数(1事業所当たり)45位、老人医療費一人当たり41位
- 健康保険加入率では、全国第7位の真面目な県民
- 1世帯当たり実収入では全国39位。世帯主の勤め先収入も39位。首都近郊県ではワースト1位。その上、対前年度比消費者物価指数は全国第2位の上昇率。県民は消費支出(44位)を抑えて頑張っています。
- 県財政力指数は首都近隣県最低で全国では30位。20年前は確か10位前後だつたハズ。行政基盤は破綻寸前で地方分権が本格化したら、大増税は避けられない。
- 実労働時間は女性全国3位、男性全国5位の働き者。
- 県債の発行高は18位、経常収支比率は41位、自主財源比は35位
県債発行残高は平成16年度で約9,360億円・毎年増加の一途
就労人口一人当たり約200万円、県民一人当たりだと100万円以上